JAF Mate 2025/春号(1)が届きました。その中で"JAFユーザーテスト「走行速度で燃費はどう変わる?」"という記事がありました。記事を読むと、トヨタ ノアのハイブリッド車とガソリン車で新東名高速道路の御殿場ICから新城ICまで走行し、車載の燃費計で燃費を検証したとのことでした。走行する速度を変え、さらにACC(アダプティブ クルーズ コントロール)使用有無の条件を変えて計測し、80km/hでACCを使用した場合が燃費が良く、ガソリン価格を185円/Lとすると、120km/hで走行した場合より、525円の差が出るほどの差があったそうです。

表1.燃費計測結果(JAFユーザーテスト)
ハイブリッド車 ガソリン車
80km
ACC使用
100km/h
ACC使用
120km/h
ACC使用
100km/h
ACCなし
100km/h
ACC使用
平均燃費 24.4km/L 20.7km/L 17.1km/L 19.1km/L 17.7km/L
所要時間 2時間10分 1時間55分 1時間42分 1時間52分 1時間57分
平均速度 74.8km/h 84.5km/h 95.3km/h 86.8km/h 83.1km/h
ガソリン代
(185円/L)
1,228円 1,448円 1,753円 1,569円 1,693円

※JAFのサイト(2)では冊子版と違い、「新東名高速道路 御殿場IC~新城ICまで往復」となっているが、所要時間は表1と同じ所要時間になっており、御殿場IC~新城IC間約162kmが正しいとするととても往復できる時間ではないので、冊子版の「スタート御殿場IC、ゴール新城ICの片道の走行結果」が正しいと思われます。

車両情報


手持ちデータと比較

 トヨタ ノア ハイブリッド(ZWR90W、R5年製)の走行データはOBD2アダプターを使って車の故障診断コネクターから取得しています(3)ので、今回はそのデータと今回のJAFユーザーテスト結果が同じなのか、違いがあるのか比較してみます。まずは走行距離を横軸に、燃費を縦軸にとってグラフを作成してみます。ガソリン車のノアとの比較という意味で、こちらも過去に取得ていた、トヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H.24年製)のデータ(4)と比較してみました。トヨタ ヴォクシーはモデルも古いので、参考として比較しています。JAFユーザーテストの"ノア ハイブリッド 80km/h ACCあり"が手持ちのノア ハイブリッドの点群の少し燃費が良いあたりに、JAFユーザーテストの"ノア ガソリン車"の燃費が手持ちのヴォクシーの燃費の点群より少し上振れした点にあるように見えますね。どちらも、飛びぬけて差があるわけではないですが、走行距離50kmより長い走行データの中では、ばらつきの中の上限、くらいの位置づけでしょうか。

図1.走行距離と燃費

平均時速で比較するとどうか?

同様に、次は横軸に平均スピードを取ってグラフを作成してみました。手持ちのデータで、高速側がちょっと少ない傾向がある中でこちらも微妙ですが、JAFユーザーテストの結果はどの点も飛びぬけて差があるわけではないですが、手持ちのデータの中では、ばらつきの上限、くらいに位置しているように見えますね。特に"ノア ハイブリッド 80km/h ACCあり"の燃費24.4km/Lは、かなり燃費が出る条件だったように思えます。

図2.平均スピードと燃費

ガソリン消費量で比較するとどうか?

走行距離とガソリン消費量は比較的相関があり、ほぼ直線的に変化する傾向があるので、横軸に走行距離、縦軸にガソリン消費量を取ったグラフで比較してみます。

図3.走行距離とガソリン消費量

燃費の良かった、つまりガソリン消費量の少ない、"ノア ハイブリッド 80km/h ACCあり"のガソリン消費量は、同じノア ハイブリッドの中であり得ないほど飛び抜けて少ないわけではないですが下限に近く、"ノア ガソリン車"もヴォクシーのデータと比べると分布の下限に近い位置にありました。

速度が上がると前車に近づく機会が多くなり、加減速が増えたことも影響していると考えられる。

とも記載されていますが、今回のJAFユーザーテストは新東名 御殿場ICスタート、新城ICゴールということもあり、御殿場IC付近は標高が 約450m 、新城IC付近は 約100m と全体として 標高が下がるルートであることも燃費が良かった要因と想像します。往復した場合や他のルートでも検証してデータを積み重ねて頂けることを期待したいと思います。

参考文献

(1) JAF Mate 第63巻・第2号 2025年4月13日発行、p42~43

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