トヨタ ノア ハイブリッド(ZWR90W、R5年製)の日常走行での走行データを重回帰分析したところ、ハイブリッド車であっても走行距離が短いと「走行距離ゼロでも消費されるガソリン消費量」の影響もあり燃費が悪いことが分かりました。では、ハイブリッド車の効果はないのか?ということで旧型トヨタ ヴォクシー ガソリン車(ZRR70W、H24年製)と比較したところ、条件が悪いなりにもハイブリッド車の効果はありそうです。走行距離が短い場合はもともとのガソリン代自体が車両価格と比較しても高額にはならないと思いますので、元を取るのは厳しいかもしれませんが...。以下詳細です。

車両情報

  • トヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H24年製)
    • ガソリン車(Z)
    • エンジン:3ZR-FAE
    • 排気量:1.986 L
    • トランスミッション:CVT

走行データを確認

 OBD2アダプターを使って車の故障診断コネクターからデータを取ることが出来るスマホアプリで普段使いでの燃費を計測しています。1回走行するたびに燃費を計算し、ヒストグラム(度数分布)にして比較したところ、全体的にノア ハイブリッドの方が燃費がよさそうですが、同時にばらつきも大きく、重なる部分も多い結果でした(1) 

図1.燃費比較

ハイブリッド車なのに燃費が悪い、という声もネット上にはあるようですが、この結果を見ればそういう場合もありそうです。特に走行距離が短い場合に燃費が悪いようですので、走行距離が10km以下で横軸走行距離をとって比較してみます。図1同様、あまり燃費差がないようにも見えますが、やはりばらつきが大きく、良く分からないですね。

図2.走行距離と燃費の関係

ガソリン消費量予測式から求めた燃費で比較

 燃費は走り方や走行距離の影響も大きいと言われていますが、今回取得したデータで、何の影響が大きいか、統計的分析手法である主成分分析をしてみたところ、走行距離、スロットル開度、エンジン回転等の走行に必要なエネルギー系が第1主成分、その次に始動時のエンジン水温等の温度に関係する条件が第2主成分として走行時のガソリン消費量に影響していていることが分かりました(2) 。そこで、ノア ハイブリッドとヴォクシーのガソリン消費量を予測する式を、走行距離、始動時のエンジン水温を変数として求め、その時の走行距離を割って(=走行距離/ガソリン消費量予測値)図2と同じように横軸に走行距離を取ってグラフにしてみました。結果、

  • 走行距離が短いとハイブリッド車でも10km/L以下になる場合もある
  • 特に走行距離が2km以下だと10km/L以下になる場合も多い
  • ただし、走行距離が2km以下の場合、ヴォクシー ガソリン車では5km/L以下の場合も多い
ハイブリッド車でも燃費の悪い条件では、同クラスのハイブリッドではないガソリン車の燃費はさらに悪かった可能性がありそうです。さらに、ヴォクシーは走行距離に対する燃費の上昇がゆっくりで、「走行距離ゼロでも消費されるガソリン消費量」が多そうです。つまり、燃費の出にくい条件でもハイブリッド車は燃費向上効果ありと言えると思います。

図3.重回帰分析を使った燃費予測値での比較

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