車を所有するときに気になることの一つに燃費があると思います。急加速/急減速は燃費に悪い、ふんわりアクセルエコドライブがいい、とか。実際どの程度影響があるのか、トヨタ ヴォクシー ガソリン車(ZRR70W、H24年製)の普段使いでの走行データを統計的分析手法の主成分分析で選定した条件(変数)を使って重回帰分析してみました。が、結果的に選択した条件によるガソリン消費量の変化に加えて、$y切片$つまり走行距離ゼロでも消費してしまうガソリン消費量が短距離走行の燃費悪化に影響ありそうです。以下詳細です。

車両情報


scikit-learnを使った重回帰分析

 「トヨタ ヴォクシー ガソリン車(ZRR70W、H24年製)の燃費を主成分分析してみる」では、走行に必要なエネルギーを代表する条件と、温度を代表する条件が寄与度が大きい結果でした。そこで、走行に必要なエネルギー系として、「走行距離」、温度を代表する条件として「始動時のエンジン水温」を選定します。

 「scikit-learnを使った重回帰分析」を参考に、ガソリン消費量を目的変数にして  LinearRegression を使ってみました。編回帰係数が約 0.069、-0.001、切片が 約0.323、決定係数が約0.974でした。 走行距離の感度がkm当たり約0.069[L]ということで、1L当たりの走行距離を計算すると約14.5km/Lになります。また、始動時のエンジン水温の方の感度が -0.001 ということは、始動時のエンジン水温が1℃上がるとガソリン消費量が 0.001L減るということで、始動時のエンジン水温はその時の気温に近いと思いますので、低温から暑い季節まで見るとどちらかというと気温が上がったほうがガソリン消費量が減る傾向がある、という結果です。夏のエアコンより、冬の暖房の方が感度が高いんですね。ちょっと意外です。

 2変数のうち、走行距離を横軸に、今回得られた結果をもとのデータと比較してみます。よく見るとオレンジの線が直線ではなく、ちょっと上下に振れています。この振れが始動時のエンジン水温(気温)による影響と思います。ほとんど分からないですね。

図1.重回帰分析結果

 この結果でその時の走行距離を割って燃費を出し、元のデータと比較してみます。走行距離20km以下の燃費の悪い場合での幅を持っているところが外気温の影響のようです。燃費が一定でない部分で多少実際の燃費を説明しているで、考慮しないよりはいいのかもしれませんが、思ったより実際の燃費とのずれがあります。

図2.燃費計算結果

走行距離だけを変数にした時と比較し、始動時のエンジン水温を考慮した場合のメリットを調べてみます。

図3.単回帰分析結果

回帰係数、$y切片$ほとんど同じですね。決定係数はもう少し桁数を多く比較すると、重回帰分析時約0.973684だったのが今回は約0.973267だったのでわずかに下がっています。同様に、燃費がどうなるか計算した結果が図4の緑の曲線になります。図2にあった幅を持った部分がなくなって曲線になっているので、多少の影響はあるようです。※走行距離50km以下に拡大してグラフ化しています。

図4.燃費計算結果(重回帰分析と単回帰分析の差)

 $y切片$は、ノア ハイブリッドの時(2)は重回帰分析時約0.141だったので、距離に対してはよりゆっくり変化していると思います。

まとめ

 ヴォクシー ガソリン車(ZRR70W、H24年製)のガソリン消費量を重回帰分析してみました。結果、平均的な燃費(重回帰係数から求めた)は14.5L/km、走行距離ゼロでも消費してしまうガソリン消費量もノア ハイブリッドより大きく、距離に対する変化はノア ハイブリッドと比べるとゆっくり。


参考文献