スマホアプリを使って計測したトヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H.24年製)のガソリン消費量を満タン法と比較
OBD2アダプターを使って車の故障診断コネクターからデータを取ることが出来るスマホアプリがあります。この仕組みを使って普段使っているトヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H.24年製)の燃費がどれくらいか、確認したいと思います。その前に、この仕組みでとれるデータがどれくらい正確なのか、車の走行スピードの積算による走行距離をメーターのトリップメーターの値と、ガソリン消費量を満タン法での給油量と比較したところ、良好な結果が得られました。
車両情報
- トヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H.24年製)
- ガソリン車(Z)
- エンジン:3ZR-FAE
- 排気量:1.986 L
- トランスミッション:CVT
トヨタ ヴォクシー(ZRR70W、H.24年式)で取得できるデータの例
取扱説明書ではダメと書いてありますが、自己責任でOBD(故障診断)コネクターにOBD2アダプターを取り付け、スマホアプリで測定してみました。WikipediaのOBD-IIのページを見るといろんなデータが取れるように思えますが、実際には車によっては対応していない、というのもあって車によって取れるデータは異なります。トヨタ ヴォクシー(ZRR70W)で試した結果、VehicleSpeed(スピード)、AirFlowRate(エンジンの吸入空気量)、EngineSpeed(エンジン回転数)、EngineCoolantTemperature(エンジン冷却水温度)なんかは取れるようでした。走行開始からの変化を時間の経過とともにグラフ化すると、以下のようになりました。走行開始から徐々にエンジン冷却水温度(緑線)が上がっていき、スピード(青線)が上がればエンジン回転(黄線)も上昇し、エンジンの吸入空気量(赤線)もぴょこぴょこ変化している様子が分かります。
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図1.ヴォクシーからとれるデータの例 |
一方、WikipediaのOBD-IIのページには”Odometer”もあったので期待したのですが、残念ながら対応していませんでした。ので、VehicleSpeed(スピード)を計測するたびに積算して走行距離を計算することにします。
さらに、燃費計測に使えそうな、”Engine fuel rate”なども取れませんでした。幸いにもエンジンの吸入空気量が分かっていますので、”空燃比”がほぼ一定(例えば Wikipediaの「空燃比」の記述を参照)であることを利用して、ガソリン1Lに対して空気14.7Lということなので、
\[ ガソリン消費量(L/s) = エンジンの吸入空気量(g/s) / 14.7(空燃比) / ガソリン密度(g/L) \]
としてみます。ガソリンの密度もこの値、というのは検索しても出てきませんでしたが、レギュラーガソリンとして、730g/L辺りを採用しておきます。
トリップメーターでの走行距離との比較
まず、ガソリンを給油するたびにトリップメーターをリセットし、前回給油時からの走行距離をトリップメーターとスマホアプリで計測した結果を比較します。回数は少ないですがトリップメーターの値を真とすると0.2~1.4%少なめに出る結果でした。近似線を入れてみると係数が約0.996なので、約0.4%程度実際の走行距離より短めに出るようです。
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図2.トリップメーター走行距離とスマホアプリ計測値 |
満タン法でのガソリン給油量との比較
スマホアプリで走行ごとのガソリン消費量を調べ、ガソリンスタンドでのガソリン給油量と比較してみました。ガソリンの方は満タン法自体、どのタイミングで給油がストップするか、といったばらつき要因はありますが、こちらも実際の給油量より約3.9%少ない時から約3.8%多めになる場合がありました。こちらも近似線を入れてみると、係数が約0.999なので、約0.1%程度実際のガソリン消費量より少なめに計算されるようです。
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図3.満タン法でのガソリン給油量とスマホアプリ計測値 |
燃費値を比較
同様に、前回給油からの走行距離と、ガソリン給油量で計算した燃費と、その時に計測していたスマホアプリの値で計算した燃費をそれぞれ比較すると、満タン法の燃費より約0.3%程度、スマホアプリ計測値の方がリットル当たりの走行距離は短く計測される傾向がありそうです。
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図4.満タン法での燃費とスマホアプリ計測値 |
まとめ
補足
今回のスマホアプリは自作しました。概要はこちら(AndroidスマホとOBD2アダプターを使って車の内部情報を取得するのに「obd2-lib」を活用)。